スマトラのAtrophaneura 属のアゲハ2種
Atrophaneura sycorax シコラックスアケボノアゲハとA.nox ノックスアケボノアゲハ
スマトラのカロヒルにあるバンダルバルというところで、ウマノスズクサ類の藪の近くで採集しているとき、大型のアゲハのメスが網に入った。ボロなナガサキアゲハと思い、取り出してみたら腹部が黄色で、前胸部の背側が白く、シコラックスアケボノアゲハだった。 このチョウはオオハゲタカアゲハと呼ぶ人もいるが、頭部背面から前胸背面が白く、ハゲタカらしい風貌を持っている。インドネシアのアケボノアゲハの仲間では最大のもので、スマトラの他、ジャワとマレー半島に分布している
これはAtrophaneura sycorax シコラックスアケボノアゲハ メスの背面の写真だが、頭部背面と前胸にかけての白色部分と黄色い腹部を見てもらいたい。この雰囲気がオオハゲタカアゲハと呼ばれる根拠と思われる。
次にこの裏面の写真を示す。
腹側には腹部の黄色が目立つが、白い斑紋はない。
次にAtrophaneura nox ノックスアケボノアゲハ(ニジアケボノアゲハ)
これはノックスアケボノアゲハのメスで後翅に虹色の幻色紋がありニジアケボノアゲハの名前を使う人がいるのも納得できる。ボルネオ産のものは幻色紋がよりはっきりするという。
このチョウはスマトラ、ボルネオ、マレーとジャワに産する。頭部、腹部に赤い毛が生えているのでこのチョウの裏面の写真を示す。
スマトラ北部にはもう1種 Atrophaneura hageni ハゲニイアケボノアゲハが分布すると云われるが、今回は姿を見ることはできなかった。 またここにあげた2種も多い種類ではなく、11月と5月には見られず、9月にやっと採集できた種類であった。