スマトラのカロヒル高原で見られたキシタアゲハの仲間(1)
Troides vandepolli ネグロキシタアゲハ、
Troides helena ヘレナキシタアゲハ
まず、スマトラのカロヒルの位置を地図で示す。東経100度、北緯3度付近で、標高1000m以上の高原地帯にある。プラスタギ市とトバ湖の間にあり、高原野菜の畑もあるが、熱帯雨林も残っており、古からの環境が残っている地域である。
Troides vandepolli ネグロキシタアゲハ(バンデポーリイキシタアゲハ)
Troides vandepolli ネグロキシタアゲハ オス 表面
このネグロキシタアゲハの分布範囲はスマトラとジャワ島の一部だけで、あまり広くない分布の限られるチョウである。カロヒルの中で、バンダルバルの民家の近くにある食草ウマノスズクサ類の藪に飛んできたものを採集できた。
オスはやや小型のハリフロンキシタアゲハの仲間とされるが、メスはオスより大きく、大型のキシタアゲハのメスとほぼ同じ大きさである。腹部が黒色なのが特徴の1つである。
ネグロキシタアゲハ メス 表面 メスは採集できず、蛹を羽化させた。 蛹は現地を案内してくれたアウイさんが飼育したものだが、9月入手して羽化は翌年の2月23日で、この年初めて気温が20℃を超えた日で、羽化まで5か月を要した。
Troides helena ヘレナキシタアゲハ
Troides helena ヘレナキシタアゲハ オス
スマトラのバンダルバルのウマノスズクサの藪近くで得られた。キシタアゲハの中では分布が広く、インド・アッサムからインドシナ半島・マレー・ジャワ・バリ・スラウェシと各地で見られる。
キシタアゲハの中では個体数も多く、一番採集し易いが、飛翔は活発で、飛びまわって、色あせたものが多く、破損のないものは少ないと思われる。下の図に分布域を緑色で示す。